2011年08月21日

ブーケさんとレザンレザン

ブーケさんとレザンレザン

今からもう三十年くらい以前のことですが
静岡・両替町の裏通りでケーキとコーヒーの店をやっていました。

コーヒーはオーダーを受けてから豆を挽き、一杯立て
ケーキはもちろん自家製で、アイスクリームやシャーベットも作っていました。

それまでは市内 呉服町の繁盛店の喫茶店でケーキ作って、コーヒー淹れて
とても忙しく働いていました。
そんなとき 鷹匠町にある美味しいコーヒーとケーキの店の評判を聞き
さっそく伺ったのがブーケさんとの最初の出会いでありました。

わたしは最初から自分の仕事を名乗り
厚かましくもいろんな質問をブーケさんにしてしまいました。

ブーケさんは警戒する様子も、いやがりもせず
同業者として、最初から仲間うちであるかのように応えて下さいました。

ご自分の仕事に自信があるからできることです。

一流の仕事する人はみなさんそうなんです!
聞かれればレシピだって教えてしまう。

お答えそのものよりも その応対に感銘してしまったレザンレザンでした。

それ以来 しょっちゅう通うようになったのは言うまでもありません。

ある時 作り方で納得がいかないことがあって伺ったときなど
厨房の中に入れていただいて、一緒に実際に作っていただいたこともありました。

そんな影響で自分で、どうしてもブーケさんのように
自分の店を持ちたくなって、とうとう始めてしまったという訳です。

お店の名前は はっぴいとおく
ブーケさんも気にしてくださっていて
よく 覗いてくれました。

ブーケさんとレザンレザン




4,5年はがんばったのですが
結局は力不足だったのでしょう
長く続けることができませんでした。

よその店でケーキ作りを数年して
考えるところがあって パンの勉強を始めました。

その間 ブーケさんに行って
ブーケさんのケーキを見ることがチョッとつらくなって
十年近く足が遠のいてしまいました。

再開したのは パン作りに一応の確信ができ始めた頃、
お店は二階建てになって すっかり様変わりしていました。

しかし、ご無沙汰していても 何も聞かずに以前と同じように接していただけました。


そして 今、自分で開いたパン屋でケーキを作り始めた頃
ブーケさんの閉店の現実。

再開したケーキ作りは昔のことを思い出しながら
なんとか いいものをと必死で取り組んでいます。

そうすると どうしてもブーケさんのことも頭に浮かび
感慨がひとしおで 手が止まってしまうこともたびたびの有様です。

ケーキ作りの志向は昔通り
ブーケさんと同じでクラシックなケーキ
普通のケーキ屋さんにないような
レストランのデザートに出るようなケーキ

ちょっとパン屋では売りにくいものが多いのですが
やはり 自分でいいと思うもの
作り手が美味しいと思うもの
それは もちろんパンでも同じことなのですが

それを続けていくしかないのです。

ブーケさんに恥ずかしくないようなものを作っていかねばと
心に言い聞かせるロートルパン屋なのであります。




同じカテゴリー(支えてくれる人)の記事画像
11月3日、静岡デビュー
ハットリ製茶さんとコラボ
励みになります。
鶺鴒が一羽いて
原田さんのこと
嬉しい出会いが・・
同じカテゴリー(支えてくれる人)の記事
 11月3日、静岡デビュー (2014-10-28 07:22)
 ハットリ製茶さんとコラボ (2014-09-08 09:06)
 励みになります。 (2014-04-01 10:28)
 鶺鴒が一羽いて (2014-02-22 20:54)
 原田さんのこと (2014-02-05 22:30)
 嬉しい出会いが・・ (2014-02-04 06:51)

Posted by レザンレザン at 23:00│Comments(6)支えてくれる人
この記事へのコメント
レザンさんの思いひしひしと伝わってきました。
私も何度かブーケさんにはお邪魔しましたが
素敵なお店でしたね♪木の造りにホッとしました。

私の知り合いで はっぴーとおく 行ってた人がいます。
味にはかなりうるさい人で
ケーキがとても美味しかったと言ってましたよ(^^)
Posted by ケイチャンケイチャン at 2011年08月22日 06:30
ご主人のブーケさんへの想いを知ると
自分のブログで展開している事が
表面的なノスタルジックだけで恥ずかしい限りです。

素晴らしい人との30年余の歴史に感動し
自営業者で職人である自分には、羨ましい話です。

今日は本当に、素敵なお話を伺えて幸せです。

お二人の友情が、いつまでも続きます様に!
Posted by passagepassage at 2011年08月22日 07:39
ケイチャン

ほんとに!

もう完全に忘れ去られたお店なので
そんなお話をうかがうととてもうれしいです。
Posted by レザンレザンレザンレザン at 2011年08月22日 07:40
passageさん   ありがとうございます。

passageさんのブログ
決して表面的なものではないと思います。
職人としての、リスペクトの思い 十分に伝わっています。

わたしはブーケさんのことを
とても おこがましくて、友人と意識したことはまだ、ありません。

敬愛する 先輩としてしか 接することができないのです。

恐れ多くて 横に並ぶことができません。

でも かなり前のことですが
ブーケさんの お母様がお亡くなりになった時、
お悔やみに伺ったのですが、その折
ブーケさんが御遺影に向かって、

「おふくろ 友達がお悔やみに来てくれたよ。」
と言ってくださったのが、今でも忘れられません。

御遺影の前で嬉しい顔もできず
感慨深い 帰り道でした。
Posted by レザンレザンレザンレザン at 2011年08月22日 08:24
はじめましてm(_ _)m

過去ブログを拝見していたら「はっぴいとおく」という名前が出ていて
ふと昔を思い出しまして・・・・。
違っていたらすみませんm(_ _)m

「はっぴいとおく」というお店は、焼津にあったお洒落な外観のレストラン的にお食事もできたお店でしょうか?
父がいつも県外からいらしたお客様が会社に来るたびに、
「はっぴいとおく 」さんに連れて行き、食事に行かせてもらっていました。
ここのパンもケーキもお食事も全てが美味しくて、おみやげにいつもパンを買って来てくれていたような思い出があります。
あまりにお気に入りで、お店で出されている白ワインを定期的に(父が無理言って頼んで買っていたのか?)自宅に常備して毎晩父が飲んでいたという・・・(笑)
その地域にあるにはもったいなくらいの、とってもとってもお洒落なお店で家族みんなのお気に入りでした。
違っていたらホント申し訳ありませんです(^。^;

レザンレザンは、もう藤枝では知らない人はいない位の有名店になってますよね^^
我が家でも、まわりからも大評判のパン屋さんですよY(^。^)
これからも、美味しいパン情報を楽しみにしております!!
Posted by KOKO at 2011年11月14日 19:36
KOKOさん

お返しが大変遅くなって申し訳ありません。

コメントありがとうございます。

わたしが以前に営んでいた「はっぴいとおく」は
静岡市の両替町にありましたので、
お話の焼津の同名店とは残念ながら違うと思われます。

でも、お父様のお気に入りの素敵なお店だったんですね。
今、あればわたしも行ってみたくなりました。

レザンレザンはまだまだ力不足で、
これから やっていかなければならないことが山ほどあって
気が遠くなってしまうほどですが、
いつも 前を向いて少しづつでも進んで行きたいと思います。

これからもよろしくお願いいたします。
Posted by レザンレザンレザンレザン at 2011年11月21日 11:26
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
ブーケさんとレザンレザン
    コメント(6)